朝、席に着いてメールを開いた瞬間に呼び出し。会議室では、昨日OKだった提案が「そんな話は聞いていない」でゼロに戻り、最後は人格に触れるような叱責で締められる――。
こういう日が続くと、問題は「仕事の難しさ」ではなく、社長(トップ)の言動と会社の仕組みにある可能性が高くなります。
結論:ブラック企業を作りやすい社長の特徴は、「当てはまる数」と「危険サイン」で整理できます。この記事では、15項目の診断で状況を言語化し、記録テンプレ・角が立たない会話テンプレ・出口(相談/異動/転職/休む)の比較まで一気にまとめます。読後に「今週やること」が決まります。
結論:当てはまる数で“次の一手”は決まる
判定の目安(点数+即危険サイン)
- 0〜3個:違和感はある。まずは「記録」を始めて様子を見る。
- 4〜7個:ブラック化の芽。記録+社内/社外の相談ルートを準備する。
- 8個以上:消耗が加速しやすい。相談・退避(異動/転職/休む)を具体化する。
即危険サイン(点数に関係なく優先)
厚労省の整理では、パワハラには「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「個の侵害」などの類型があります。
たとえば暴力・物を投げる/人格否定が長時間続く/私物を撮影・監視のようなものは、我慢して改善待ちにしない方が安全です(代表例)。
参考:厚労省(あかるい職場応援団)パワハラ6類型
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/pawahara-six-types/
ブラック企業を作りやすい社長の特徴15(診断チェック)
「社長の性格が悪いかどうか」ではなく、言動+制度(仕組み)で見ます。チェックは“当てはまるかも”でOKです。
A. 言動のサイン(1〜8)
- 指示や方針が頻繁に変わり、後から「聞いてない」と否定される
- 会議や面談が“詰問”になり、理由よりも恫喝・威圧が中心
- ミスの指摘が「人格」や「存在否定」にすり替わる
- 反対意見や改善提案が通らず、イエスマンが評価される
- 怒りのスイッチが読めず、周囲が常に顔色をうかがう
- 「給料を払ってやってる」「会社にいられるだけで感謝しろ」系の発言が多い
- プライベート(休日・家庭)に踏み込む干渉や呼び出しが常態化
- 責任の所在が曖昧で、結果が悪いと現場に押し付けられる
B. 制度のサイン(9〜15)
- 評価基準が不透明で、好き嫌い・気分で評価が動く
- 残業・休日出勤が“当然”になっている(拒否しにくい空気)
- 勤怠や労働時間の扱いがあいまい(記録が残りにくい運用)
- ハラスメント相談窓口が形だけで、相談すると不利益が怖い
- 人が辞めても補充せず「気合で回せ」が続く
- 昇進・配置・異動が社長の一存で決まりやすい
- 離職が多いのに、原因分析や再発防止が行われない
ここまでで4個以上当てはまるなら、次は「線引き(パワハラ)」「記録」「出口」を整えるフェーズです。
「厳しい指導」との線引き:パワハラ3要素+6類型で整理する
社長が厳しいのか、アウトなのかで迷うときは、厚労省関連の整理が役に立ちます。こころの耳(厚労省委託)では、職場のパワハラを3要素で示しています。
参考:こころの耳「職場のパワーハラスメントとは(3要素)」
https://kokoro.mhlw.go.jp/power-harassment/
3要素(ざっくり言うと)
- 優越的な関係:抵抗・拒絶しにくい立場の差がある
- 業務の範囲を超える:必要性や相当性を超えている(手段が不適切、執拗など)
- 就業環境が害される:働きづらさ・心身への影響が出る
6類型に当てはめると“言語化”できる
厚労省の6類型(身体的/精神的/人間関係からの切り離し/過大/過小/個の侵害)に当てはめると、「何が起きているか」を整理できます。
たとえば、長時間の人格否定は精神的な攻撃、孤立させる行為は人間関係からの切り離し、業務と無関係な私用強制は過大な要求に近い形です(あくまで整理の枠)。
角が立たない会話テンプレ(社長・上司に言うとき)
正面から「それはおかしい」とぶつかるほど、消耗するケースが多いです。言い方は事実→影響→提案に寄せると角が立ちにくくなります。
テンプレ1:指示が変わる(ぶれを減らす)
例文:
「念のため確認させてください。昨日はA案で進める理解でしたが、今日の方針はB案で合っていますか。
もしB案なら、納期に影響が出るので、優先順位(何を削るか)だけ先に決めたいです。」
テンプレ2:残業・休日が増え続ける(現実的な調整)
例文:
「今週の作業量だと、残業だけでは吸収しきれない見込みです。
①納期を動かす ②人手を借りる ③範囲を削る のどれで調整しますか。私は③の削り案を先に作ります。」
テンプレ3:叱責が強い(事実に戻す)
例文:
「ご指摘の点は受け止めます。今後の改善のため、事実確認だけさせてください。
“いつまでに”“何を”“どの基準で”直せばOKか、要件を箇条書きでいただけると助かります。」
ポイントは、感情ではなく“運用”に戻すことです。これで改善しない場合は、次の「記録」と「出口」が効きます。
記録テンプレ(相談・転職で“武器”になるメモ)
相談先に行っても、状況が説明できないと前に進みにくいです。記録は1分でいいので毎回同じ型で残します。
1分で書ける記録テンプレ
- 日時:
- 場所(会議室/電話/チャット等):
- 相手(社長/上司/同席者):
- 起きた事実(発言・指示・行為を短く):
- こちらの対応(何を言った/やった):
- 影響(業務/体調/睡眠/家族への影響など):
- 証拠(メール/チャット/録音の有無・ファイル名):
相談先に持ち込む“要約メモ”(3行)
- 何が起きているか(例:人格否定の叱責が週3、指示が日替わり)
- どんな影響が出ているか(例:睡眠障害、業務ミス増、欠勤増)
- どうしたいか(例:安全に退避したい/未払いを確認したい/相談先を知りたい)
出口の比較:相談/異動/転職/休む(次の一歩が決まる表)
出口は1つではありません。状況に合わせて“安全な順”で選びます。
| 選択肢 | 向いている状況 | メリット | 注意点 | 次の一歩 |
|---|---|---|---|---|
| 社内(人事・相談窓口・異動) | 会社に制度があり、相談が機能しそう | 環境が変われば回復が早い | 相談が“形だけ”だと消耗する | 記録3件分を持って面談依頼 |
| 公的相談(総合労働相談コーナー) | まず無料で整理したい/匿名で聞きたい | 無料・予約不要の案内がある | 個別の代理交渉は基本できない | 要約メモ3行を持参 |
| 法テラス | 法的にどう動くか相談したい | 相談窓口・紹介の導線がある | 条件や内容で案内が変わる | 相談内容を「労働」で整理 |
| 転職(在職のまま準備) | 構造が変わらない/社長が原因 | 根本解決になりやすい | 準備なし退職は家計に響く | 職務経歴の棚卸し1枚作成 |
| 休む(受診・休職含む) | 睡眠・食欲・動悸など不調が続く | まず回復を優先できる | 我慢で悪化させない | 受診+記録を持参 |
参考(公的窓口):厚労省「総合労働相談コーナー」
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html
参考(法律相談導線):法テラス「労働に関するよくある相談」
https://www.houterasu.or.jp/site/faq/roudou.html
よくある質問(FAQ)
- Q1. 社長がワンマン=ブラック企業ですか?
- A. 断定はできません。意思決定が早いなどの面もあります。ただし、特徴が複数重なり、制度面(評価・勤怠・相談窓口)が崩れているなら、ブラック化しやすいです。
- Q2. 「厳しい指導」と「パワハラ」の違いは?
- A. 目安として、優越的立場を背景に、業務の範囲を超え、就業環境を害するかで整理します(3要素)。迷う場合は6類型に当てはめると状況が言語化できます。
- Q3. 証拠がないと相談しても無駄ですか?
- A. 無駄ではありません。ただ、記録があるほど説明が短くなり、相談先も動きやすくなります。まずはテンプレで残してください。
- Q4. 相談したら会社にバレますか?
- A. 心配が強い場合は、まず公的窓口で「どこまで話すか」「何を準備するか」を確認してから動くと安全です。
- Q5. 社長に直接言うのが怖いです。
- A. 会話テンプレは“運用”に戻すためのものです。改善しないなら、言い合いを続けずに出口(相談・退避)を優先します。
- Q6. 40代で転職は遅いですか?
- A. 遅い/早いより「準備の順番」が重要です。在職のまま準備し、家計を崩さない動きを先に組みます。
- Q7. 休むほどではないけど、眠れません。
- A. 眠れない状態が続くなら、まず回復を優先してください。状況を悪化させないことが最優先です。
- Q8. 家族にどう説明すればいい?
- A. 「事実(起きたこと)→影響(体調/家計)→計画(今週やること)」の順で短く伝えると、感情論になりにくいです。
まとめ:今週やること3つ(行動が決まる)
- 診断チェックをつける:15項目のうち、当てはまるものに印をつける(点数化)。
- 記録を3件分残す:テンプレで「日時・事実・影響・証拠」を1分で記録する。
- 出口を1つ決める:公的相談で整理する/社内に持ち込む/転職準備を始める/休む、のどれかを今週の予定に入れる。

