「営業は向いてない」「辞めたい」——そう感じた時期、私は結果が出ない不安とノルマに追われる焦りで毎日が固まっていました。数字を満たすための行動が増えるほど、顧客の顔が見えなくなる。上司の言葉も刺さり、次第に「自分は必要とされていない」とまで思い込むように。そこで私は、「大口よりも既存顧客」「短期よりも信頼の積み上げ」に舵を切りました。本記事では、迷いの中心にあった感情、実際に行った小さな工夫、立ち直りの3つの転機、そして再発防止の仕組みをまとめます。あなたが同じ悩みを抱えるなら、今日から試せる一歩を必ず見つけられます。
- 「営業 向いてない・辞めたい」時の感情の整理手順がわかる
- 既存顧客重視とアフターフォローで成果を積む具体策を掴める
- 再発防止の仕組み・週間チェックリストをそのまま使える
営業が向いてない・辞めたいと思った当時の悩み
当時は「営業が向いてない」と何度も自分に烙印を押していました。週ごとの進捗会議では数字だけが可視化され、プロセスは置き去り。結果が出ないほど資料作成と架電が増え、会話は「今月あと何件?」に収束。上司の嫌味も重なり、自己肯定感が急降下。やるべき行動が頭ではわかるのに、心が先に折れていく。その悪循環の中で、私は「辞めたいモード」に完全に入っていました。
結果が出ず数字に追われる毎日(週単位でノルマ報告)
週1の進捗会議で「今週◯件、月◯件」という数字を追い続けるうち、1日あたりの架電が40件を超えても会話は浅くなりました。報告欄は埋まるのに、商談の質が落ちて成約率は月平均で3.5%まで低下。数字を埋めるための数字になり、「誰のための行動か」が見えなくなったのです。焦りは増し、ミスも連鎖。私の中で「向いてない」というラベルが太字になっていきました。
上司の嫌味と言葉のプレッシャーで自己嫌悪に
会議後に「それで給料もらってる自覚ある?」と月2回は刺さる一言。改善点を議論する前に気持ちが凍り、帰社後のメモは空白が増えました。自責が強まり、夜は睡眠時間が5時間を切る日も。朝の通勤中に「今日もダメかも」とつぶやいてしまう自分にさらに嫌悪が重なる。数字だけを見られると、人としての価値まで否定された気がして、心が縮んでいきました。
「誰にも必要とされていない」と感じた瞬間
架電の手が止まったある夕方、ふと「自分じゃなくてもいいよね」と胸の奥で小さく諦めが生まれました。その瞬間、足がオフィスの床に根を張ったように重く、口から出るのは定型文だけ。会話が空回りし、1日が8時間の消耗に変わる。必要とされたいのに、必要とされない恐れが行動を奪う——まさに悪循環の底でした。
週1回でいいので「数字以外の指標」を記録すると、2〜3週間後にプロセスの改善点が浮かびやすくなります。
「向いてない」と思った私が試した小さな工夫と意識の転換
辞めたい気持ちは消えませんでしたが、私は「今日できる1ミリ」を探しました。そこで選んだのが既存顧客の深掘りとアフターフォローの徹底です。大口狙いを減らし、関係性を温め続ける行動に切り替えました。成果は遅く見えても、信頼は確実に積み上がる。数字を距離置きし、「顧客の得」と「自分の得」が交差する点を探すことで、日々の会話が少しずつ色を取り戻していきました。
新規開拓より既存顧客フォローを優先(週3回訪問)
新規は午前中の1時間に限定し、午後は既存顧客の訪問・オンライン面談を週3回固定。購入直後の7日・30日・90日に軽いフォローを組み、質問の芽を早めに拾う運用へ。結果、クレームは月2件→0〜1件に減少。小さな相談が増え、紹介の芽も見え始めました。
数字より会話量を意識し、信頼を積み上げる
1日あたりの「有効会話時間」を合計120分確保する目標に変更。チェック項目は「聞けた課題の数」「次回の合意」。会話が増えるほど、提案の角度が増え、見積提示率は15%→28%へ。数字を見るのは週末のみ、平日はプロセスに集中することで心の摩耗が緩みました。
「顧客の得」と「自分の得」を両立させる思考法
提案前に60秒の自問を導入。「この提案で顧客が得する点は?」「私が得る点は?」「一致する根拠は?」の3点を書き出すだけ。営業の押し引きが整い、無理なアップセルをやめた結果、継続率が6か月で+12%伸び、長期の関係が可視化されました。
既存フォローの定点日は「7・30・90日」で固定すると、1件あたりの対応時間を平均20〜30%短縮できます。
3つの転機で見えた、“営業を続ける意味”
小さな工夫を続けるうち、私の中ではっきりした3つの転機が訪れました。どれも劇的ではありませんが、日常の手触りを変え、行動に再現性を与えてくれた出来事です。顧客の言葉、数字の輪郭、仕事観の変化——それぞれが連鎖し、「辞めたいモード」からの出口が具体化しました。
転機①:「あなたに任せたい」と言われた日
ある既存先で、「うちみたいなところでも、ちょくちょく顔を出してもらえて嬉しい。困ったらあなたに任せたい」と声をいただきました。訪問頻度は月2回→月3回へ増やしただけ。数字の話をしない面談を30分設けた結果、関係温度が上がり、追加受注に自然につながりました。
転機②:大口案件は減ったが安定受注が3倍に
大口の波は減ったものの、月次での安定受注は1〜2件→3〜6件に増加。平均単価は−18%下がりましたが、解約・キャンセルが減って売上の振れ幅が小さくなりました。数字を追う視点を離し、積み上げ型の数字を見始めたことで、心の安定も増しました。
転機③:数字より信頼を積み上げる営業の楽しさ
会話の中で顧客の「小さな困った」を拾えると、週1回は誰かの役に立てた実感が生まれました。自己否定の言葉は「今日は誰を助けられた?」に置き換わり、日報の1行が楽しみになったのです。楽しさは成果を呼び、紹介も月0件→月1〜2件へ。
「売上」と別に「安定受注件数」「紹介件数」を月次3指標にすると、ストレスが約30%下がる体感があります。
「辞めたい時期」をどう乗り越えるか──営業の再出発に向けて
辞めたい気持ちを無理に消す必要はありません。大切なのは、選択肢を持ったまま小さく続けること。短期の区切りと、頼る対象の選び方、そして続ける・辞めるの判断軸を先に用意する。これだけで、心は驚くほど軽くなります。以下は私が実際に使った方法と、今も効いている基準です。
辞めたい時こそ「1か月だけ続ける」と区切る
「今月だけ続ける」を宣言し、やることを3タスクに絞りました。①既存先3社への30分面談、②フォロー連絡(7・30・90日)、③有効会話120分/日の確保。期日があると、感情の波に飲まれにくくなり、実行率は70%超で安定。小さな達成感が翌週の燃料になります。
同僚・上司に頼るより「顧客と対話」してみる
社内の温度が低い時期ほど、顧客に会いに行くと回復が早い。週3件の「雑談面談」を設定し、課題を1つだけ聞く。社内では得られない視点が増え、提案の切り口が月5→月12に。「必要とされている感覚」は社外の現場で取り戻せます。
営業を続けるか辞めるかを判断する3つのサイン
①睡眠が4時間台が2週間続く、②パワハラ水準の発言が週1回以上、③価値観(顧客本位)が組織と半年以上不一致——3つのうち2つ当てはまれば、環境変更を検討。心身を守る選択も「前進」です。必要に応じて専門家や労務窓口へ早めに相談を。
なお、「どのような発言や行動がパワハラに該当するのか?」は、厚生労働省の定義を参考にすると判断しやすいです。
パワハラは「優越的な関係を背景に」「業務上必要かつ相当な範囲を超えて」「就業環境を害する行為」とされ、代表的な6類型に整理されています。
「辞める」は敗北ではありません。3つのサインのうち2つが該当したら、30日以内に次の一手を紙に書き出しましょう。
信頼を積み上げる営業の仕組み化とチェックリスト
再現性の鍵は、行動の固定化と見える化です。私は「日々のチェック」「週の儀式」「月次レビュー」の3階建てに整理しました。数字を見るのは週末だけ、平日はプロセスの記録に集中。顧客の得と自分の得が重なる瞬間を拾うための、小さな仕掛けをご紹介します。
日々の行動チェックリスト(5項目)
①有効会話120分を確保/②既存先へ感謝の1通連絡/③7・30・90日フォローの更新/④提案前の60秒自問/⑤日報に「今日助けられた人」を1名記録——これだけで、翌週の商談準備が格段に楽になります。
顧客満足を測るシンプルな3指標
①返信速度(24時間以内が80%以上)/②紹介件数(月1件以上)/③継続・追加の打診(四半期に2件以上)。売上以外の指標を明示すると、行動がブレにくく、目の前の会話に集中できます。
| 施策 | 変化(件数/割合) | メモ |
|---|---|---|
| 既存フォロー(7・30・90日) | 見積提示率 15% → 28% | 早期相談が増加 |
| 会話時間の目標化 | 有効会話 120分/日を維持 | 提案の角度が増加 |
| 大口→安定受注へシフト | 月1〜2件 → 3〜6件 | 売上の振れ幅が縮小 |
※数値は筆者の実践ベース。環境により異なります。
表の3指標を月1回見直すだけで、翌月の優先タスクが3つに絞れ、迷い時間を20〜30%減らせます。
まとめ──「数字より信頼」を選んだ営業のこれから
「営業 向いてない・辞めたい」と感じた私は、数字から距離を取り、既存顧客とアフターフォローに軸足を移しました。大口の華やかさは減っても、安定受注と紹介が増え、心の凪が戻る。私が学んだのは、数字を追いかけるほど顧客本位を見失いがちだという事実。そして、顧客の得と自分の得を一致させる問いを持てば、行動は自然と整うということです。あなたも今日から、プロセスを1つ可視化し、会話を10分だけ増やすところから始めてみませんか。
- 数字は週末にだけ見る。平日はプロセスに集中する
- 既存フォローは7・30・90日の3点固定で迷いを減らす
- 有効会話120分/日・紹介1件/月・継続2件/四半期の3指標を採用
- 「1か月だけ続ける」でタスクを3つに限定する
- 合わない環境から離れる勇気も前進。専門家・窓口に早めの相談を
学びは行動に落として14日で評価すると定着しやすいです。2週間で小さな変化を1つだけ確認しましょう。
チェックリスト/ステップガイド
下のチェックリストを毎朝1分で確認。完了数をカウントし、週末に3つの指標と合わせて振り返ると、迷いが減ります。できない日は責めず、翌日に1項目だけ多く実施。
- 有効会話120分を確保(AM/PMで60分ずつ)
- 既存先へ感謝の一言メッセージを1通送る
- 7・30・90日フォローの進捗を更新
- 提案前の60秒自問を実施(顧客の得/自分の得/一致根拠)
- 今日助けられた人を日報に1名記録
- 週末に「売上・安定受注・紹介」の3指標を確認
- 3つのサイン(睡眠・発言・価値観)を月1回セルフチェック
チェックは朝1分・夜1分の合計2分で十分です。所要を可視化すると、継続率が20%前後高まります。
サトシ(営業マン/FP2級・宅建資格保持)
都内で会社員をしながら、日常の家計管理と資産形成を実践中。 過去に無理な節約で体調を崩した経験をきっかけに、 「暮らしの質を守りながらお金と付き合う」をテーマに情報発信しています。
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