会社にはモヤモヤしてきたけど、“お客さんとの出会い”だけは本当に宝だった話
「本当はとっくに独立しているはずだったのになぁ…」
40代も後半に差し掛かってくると、ふとそんなことを考える瞬間があります。
上司評価や人事制度にはずっとモヤモヤしてきたし、「辞めたい」「独立したい」と思った夜も一度や二度ではありません。それでも、なんだかんだ今の仕事を続けてこられた理由がひとつだけあります。
それは、「お客さんとの出会い」だけは、本当に宝物だったからです。
この記事は、ひとりの営業としての「振り返り」として書いています。同じように会社にモヤモヤしながら働いている誰かに、少しでも「ここまでがんばってきた自分も悪くないな」と思ってもらえたら嬉しいです。
評価されない営業人生の中で、唯一ブレなかったもの
正直に言うと、会社に対しては長いあいだモヤモヤが消えませんでした。
- 評価は上司の好みに左右される
- 根回しや社内営業が上手い人が出世しやすい
- 現場で汗をかいている人ほど、数字以外はあまり見てもらえない
そんな空気の中で働いていると、どうしても心がすり減っていきます。
「自分なりに結果を出して、お客さんからも感謝されているのに、なんでそこは評価されないんだろう…」
そんな違和感は年々強くなり、「辞めたいな」「独立したいな」と何度も頭をよぎりました。
それでも、不思議なことに仕事そのものは嫌いになれませんでした。理由を冷静に考えてみると、いつも最後に残るのは“お客さんの顔”なんです。
会社や上司に対しては文句があっても、現場で向き合ってきたお客さんとの関係だけは、最後までブレませんでした。
自分のスキルを信じて投資してくれたお客さんたち
法人向けの営業をしていると、決して安くない金額の提案をする場面がたくさんあります。
- 複合機やビジネスホン
- ネットワーク機器やセキュリティ機器
- 保守やサポートの長期契約 など
どれも「ちょっと試しに買ってみるか」とはいかない金額です。それでも、こちらの話をじっくり聞いたうえで、
「あなたが言うなら、その内容でお願いするよ」
そう言って、決断してくれたお客さんが何人もいました。
もちろん、その裏側にはプレッシャーもあります。「本当にこれで良かったのか?」「結果としてちゃんと役に立っているだろうか?」と、納品後もしばらくはドキドキすることもありました。
それでも、しばらく経ってから
- 「導入してから業務が楽になったよ」
- 「コストも下がったし、あのタイミングで決めて良かった」
- 「次の案件も、まずはあなたに相談するよ」
そんな言葉をもらえると、「あのとき自分を信じて任せてくれたんだな」と、じわっと込み上げてくるものがあります。
売上や粗利の数字は、月次のレポートとともに流れていきます。でも、
「あの人の会社は今も元気にやっている」
「あのときの提案が、少しでも役に立っていた」
そう思えることは、数字とは違う意味で、営業人生の中で大きな支えになっています。
売上ではなく『信頼』を積み上げた10年・20年
営業の世界では、どうしても「今月の数字」「今期の目標」が優先されがちです。ノルマや粗利に追われながら働いていると、本音ではお客さんとの関係よりも、目の前の数字を優先したくなる瞬間もあります。
それでも、自分の中でひとつだけ決めてきたことがあります。
「会社のため」よりも、「目の前のお客さんのため」を優先する。
キレイごとに聞こえるかもしれません。それでも、ここだけは妥協したくありませんでした。
例えば、こんな場面です。
- 本当はもう少し安く出せるのに、「会社の利益」を優先したくなるとき
- トラブルが起きたとき、「自分は悪くない」と言い訳したくなるとき
- 短期的な売上のために、お客さんにとって微妙な提案を押し通しそうになるとき
そういうときこそ、「このお客さんが自分の家族だったら、この提案を出せるか?」と自分に問いかけるようにしてきました。
その結果、売上を取り逃したこともあります。「あのとき、もう少し強引にいけば契約になっていたかもしれない」と後悔したこともあります。それでも、長い目で見れば、
- トラブル時に真っ先に相談してもらえた
- 他社より高くても、自分を選んでもらえた
- 部署や会社をまたいで、別の紹介をしてもらえた
そんな形で、少しずつ「信頼」という見えない資産が積み上がっていきました。
数字の上では埋もれてしまう年もあります。評価のシートを見て、がっかりしたこともあります。それでも、
10年・20年という時間の中で、自分は『売上』ではなく『信頼』を積み上げてきた。
そう思えることは、今の自分にとって大きな誇りです。
この経験が、これからのブログとコンサルの土台になる
営業という仕事を通して、たくさんの社長や担当者と出会ってきました。元気な会社もあれば、厳しい状況の会社もあります。社員がイキイキしている会社もあれば、空気が重たい会社もあります。
そうした現場を何年も見てきたことで、少しずつ「目利き力」のようなものが育ってきました。
- この社長は、ちゃんと社員とお客さんを見ているか
- この会社は、短期の売上だけでなく、長期の関係を大事にしているか
- この人は、約束を守る人か、言葉だけで終わる人か
そういう感覚は、机の上の本やセミナーだけでは身につかないものです。自分の足で訪問し、自分の口で話し、自分の目で見てきたからこそ得られた財産だと感じています。
そしてもうひとつ、大きかったのは、「現場で数字に追われ続けても、自分なりの軸を手放さなかったこと」です。
- お客さんの立場に立って考えること
- 短期の売上よりも、長く付き合える関係を選ぶこと
- たとえ評価シートに反映されなくても、自分の中で納得できる仕事をすること
こうした積み重ねは、見た目には地味ですが、確実に自分の中の「土台」になってきました。
これからは、この土台を活かして、少しずつ、
- 会社にモヤモヤしている40代サラリーマン
- 集客や働き方に不安を抱えている小さな会社の社長
こうした人たちの相談に乗る側に回っていきたいと考えています。
ブログでは、
- 「評価されない営業マン」がどう生き延びてきたか
- 会社にしがみつかないための、働き方やキャリアの整え方
- 失敗も含めたリアルな体験談
を中心に発信しながら、将来的には、同じように悩む人の「伴走役」になれたらと思っています。
会社には今でもモヤモヤします。それでも、たくさんのお客さんとの出会いがあったからこそ、今の自分があります。
「お客さんとの出会いだけは、本当に宝だった。」
この感覚を忘れないまま、これからは少しずつ「会社の看板」ではなく、「自分の名前」で勝負できるように、ブログやコンサルの準備を進めていきます。
