第5話:小さな会社の社長と付き合うことが、将来の自分ビジネスのリハーサルになっている話
気づいたら、会社員生活もそれなりの年数になりました。
「会社は安定収入と社会保険の箱」と割り切りつつも、どこかでずっとくすぶっている気持ちがあります。
「いつかは自分のビジネスで勝負したい」。
そんなことを考えながら営業を続けているうちに、あることに気づきました。
従業員1〜3名くらいの“小さな会社”の社長と付き合っている時間が、そのまま将来の自分ビジネスのリハーサルになっている、ということです。
大企業より「小さな会社」と馬が合うと気づいた日
僕が担当しているお客様の中には、従業員1〜3名くらいの、本当に小さな会社がいくつもあります。業種でいうと、メンテナンス業など、現場で汗をかくタイプの会社が多いです。
最初にその社長と会ったときの印象は、
- 情に厚い
- 意思決定が早い
- お金だけじゃなく、人柄もちゃんと見ている
大企業の担当と比べて圧倒的に違うのは、「人」として見てくれるかどうかでした。
こちらが真面目に考えて提案すると、「その内容なら、お任せしますよ」と腹を決めてくれる。社内稟議で何週間も待たされることもありません。
そんなやりとりを繰り返すうちに、気づけば僕は、大企業よりも「小さな会社」のほうに、不思議と居心地の良さを感じるようになっていました。
「ITのことは全部任せるよ」と言われたあの日
印象に残っているメンテナンス会社があります。従業員は1〜3名ほど。まさに「社長と奥さんと、現場の人たち」というアットホームな会社です。
その会社では、単なる複合機やOA機器の話だけでなく、
- 会社のカタログづくり
- ホームページの作成
- ちょっとしたITまわりの相談
まで、気づけばいろいろ任せてもらうようになりました。
あるとき、社長からこんな一言をもらいました。
「ITのことなら全部おまかせしたい。どんな細かいことでも誠実に対応してくれるから、安心して頼めるよ」
その瞬間、会社の看板というより、「一人の人間として信頼された感覚」がありました。
できあがったカタログやホームページを見ながら、社長がうれしそうに話してくれる姿を見て、心の中でそっと思いました。
「もし自分が独立したとしても、この社長とはきっと一緒に仕事をしていたいな」と。
小さな会社と付き合う中で、自然と身についた3つの力
小さな会社の社長と付き合っていると、「これは将来の自分ビジネスにそのまま使えるな」と思う力が、少しずつ鍛えられているのを感じます。
① 社長の“本音”を読む目(目利き力)
小さな会社の社長は、お金の話にシビアです。
- 本当に必要な投資なのか
- 今のキャッシュフローで無理はないか
- その提案が、現場の負担にならないか
こういう本音の部分を、雑談の中や表情の変化から読み取っていく必要があります。
「この社長は、お金だけじゃなく、人柄も見ているな」と感じる場面も多く、人として信頼してもらえるかどうかが勝負になります。
② 小回りのきく提案力(その場で決まるスピード感)
小さな会社は、良くも悪くも意思決定が早いです。
こちらがその場でパッと提案した内容が、そのまま「じゃあそれでいこう」と決まってしまうこともあります。
だからこそ、
- 会社の現状
- 社長の価値観
- 今一番困っていること
を短時間で整理して、その場で現実的な案を出す力が求められます。
③ 固定費とキャッシュを意識した「お金の感覚」
メンテナンス業のような小さな会社では、
- 毎月の固定費
- 突発的な修理・投資
- 人件費・外注費
こういったものが、社長の頭の中で常にぐるぐる回っています。
「この提案を入れることで、毎月の固定費はどう変わるか?」 「しんどくなったときに、どこまでなら耐えられるか?」
そういう計算を一緒に考えるうちに、自然と“オーナー側の視点”が少しずつ自分の中にも育ってきました。
「もし自分が独立したら、こんな風に関わりたい」と思った瞬間
小さな会社の社長と話していると、ふと頭の中でシミュレーションすることがあります。
「もし自分が独立していたら、こういうWEBやITまわりの相談に乗りたいな」と。
例えば、こんなイメージです。
- ホームページやカタログを通して、どうやって集客していくか
- ムダな固定費を削りつつ、必要なところにはちゃんと投資する考え方
- 小さな会社だからこその強みを、どうやって表に出していくか
ただ「商品を売る営業」ではなく、ビジネスパートナーとして横に並ぶ感覚です。
「この社長の右腕みたいな立場になれたら絶対楽しいだろうな」と思う人も、すでに何人かいます。
今の仕事は、将来の自分ビジネスのリハーサルだ
あるとき、そのメンテナンス会社で提案したWEBまわりの施策がきっかけで、実際に集客につながったことがありました。
そのとき社長から言われたひと言が、今でも忘れられません。
「あなたに頼んで良かった」
その瞬間、心の中でこう思いました。
「これはもう、会社の看板じゃなくて“自分の名前”でも通用するかもしれない」と。
ITやWEBで課題を解決し、「結果としてお客さんが喜んでくれる」。 その流れは、会社員としてやっていても、将来自分ビジネスをやるときにも、ほとんど変わりません。
そう考えると、今やっている一つ一つの仕事が、
「将来の自分ビジネスのリハーサル」
に見えてきます。
同じようにモヤモヤしている40代サラリーマン・小さな会社の社長へ
僕と同じように、
- 会社にはモヤモヤしている
- でも仕事やお客さんとの関係は嫌いじゃない
- いつかは独立や自分ビジネスも視野に入れている
そんな40代サラリーマンは、意外と多いと思います。
もし今、小さな会社の社長と関わっているなら、その時間はきっと、
「いつか自分がオーナー側に回ったときの、貴重な練習時間」
になるはずです。
そして小さな会社の社長側から見ても、
- お金のこと
- ITやWEBのこと
- 現場の回し方
を、一緒に真剣に考えてくれる営業マンは、そう多くありません。
僕自身、これからも会社員でいるあいだに、
- どんな社長と出会い
- どんな課題を一緒に解決して
- どんな「あなたに頼んで良かった」を増やせるか
を意識しながら、小さな会社との付き合い方を磨いていきたいと思っています。
その積み重ねが、きっといつか、 「会社の看板ではなく、自分の名前で仕事をする」 その日の土台になると信じて。
